はじめに
発売から年数を経た Xperia 1 III。当時はソニーのフラッグシップで、いま中古市場では価格がこなれてきています。私は実機を中古で購入(約4万円)して長期運用中です。ここでは、カタログでは分かりにくい使い続けて見えた利点・欠点を、実体験ベースでまとめます。「今でも買う価値があるのか?」を、冷静に判断できる材料を揃えました。
基本スペック(おさらい)
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SoC:Snapdragon 888
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メモリ:12GB/ストレージ:256GB(microSD対応)
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ディスプレイ:6.5型 4K OLED(21:9, 120Hz)
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カメラ:12MP 広角(OIS)+12MP 超広角+12MP 可変望遠(70/105mm, OIS)
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動画:最大4K 60fps、光学手ぶれ補正あり
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フロントカメラ:8MP
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オーディオ:3.5mmイヤホンジャック、ステレオスピーカー
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バッテリー:4500mAh(Qiワイヤレス充電対応)
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防水防塵:IP68、シャッターボタンあり
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質量:約186g
長期使用で良かった点
1) 4K OLEDの“作品映え”
4K解像度×自然な発色で、映画・アニメ・写真がとにかく気持ちいい。クリエイターモード(CineAlta監修)を使うと色温度が落ち着き、質感の表現がリッチに。120Hzの滑らかさも相まって、コンテンツ消費用の画面として今も一級です。
2) 音の入口が豊富(ジャック&LDAC)
最近減ったイヤホンジャックがあるのは明確なアドバンテージ。ハイレゾやLDACを含むBTコーデックも充実で、**有線/無線の“どっちも最適”**が選べます。ステレオスピーカーも自然志向の鳴りで、動画視聴なら不満は少ないはず。
3) カメラは“操作感”で選ぶ機種
物理シャッターボタンは唯一無二。半押しAF→全押しの一連が気持ちよく、構えたくなる体験そのものが価値。
構成は 12MP×3(広角・超広角・可変望遠)。望遠は70/105mmを切替でき、ポートレート~遠景まで画角を丁寧に追い込めます。動画は4K60P+OISで、手持ちでも割と粘る。静止画も動画も**“撮る行為が楽しい”**がこの機種の真骨頂です。
4) 細長ボディの持ちやすさ
21:9のスリム形状は片手ホールドがしやすく、最新の大型・重量級機から持ち替えると軽快さが際立ちます。186gは長時間のブラウジングや読書でも疲れにくい。
5) 拡張性と“使い続けやすさ”
microSD対応/Qiワイヤレス充電で、撮って・貯めて・置くだけ充電の生活動線が整う。シャッターボタンや縦長画面はSNS運用や資料撮影にも相性良く、道具感が強い端末です。
長期使用で気になった点
1) 888の発熱は“環境依存で露骨”
高負荷や連続カメラ、ゲームで温度が上がりやすく、炎天下では顕著。
実体験として、真夏の屋外でポケモンGOをプレイ中に極端な重さを経験しました(温度制御でクロックが落ちる体感)。屋内・涼しい環境では快適ですが、夏の外遊び用メイン機と考えると厳しさは残ります。
2) バッテリーは年式相応に“弱っていく”
4500mAhとはいえ、経年個体は体力低下が出やすい。中古で買うなら、電池交換済み/交換可のショップ保証を重視したいところ。ゲーム・カメラ多用派はモバイルバッテリー前提で。
3) 指紋センサーの“気分屋”挙動
側面センサーは認識ムラが出る個体があり、突然エラー→復帰を繰り返すことも。パターンやPINの代替解錠を併用すると運用が安定します(ここは割り切りが必要)。
4) アップデート終了の割り切り
セキュリティ更新はすでに終了。最新OS機能や長期サポート重視の人には不向き。
一方で、microSD・イヤホンジャック・シャッターキーなど“今は希少な装備”を楽しむ端末、と位置づけると満足度は上がります。
5) 夜景は“雰囲気派”
最新の多画素AI補正機に比べると、暗所のノイズ処理やAF粘りは世代相応。RAWやPhotography Proのマニュアルで触ると伸びますが、**オート1発で映える“派手仕上げ”**が好きな人は最新機の方が楽です。
中古市場の推移と“選び方”
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価格:発売当初は約15万円 → いまは3~5万円台が目安(状態・保証で変動)。
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私の購入:約4万円(ショップ保証付)。
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チェック観点
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液晶焼け/色ムラ:OLED特有。白背景やグレーで確認
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バッテリー:体感でも劣化を感じたら交換可否と費用感を確認
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指紋センサー:登録→複数回の解錠でムラ確認
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カメラ:全レンズ切替、AF、動画の手ぶれ挙動を試す
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保証:初期不良対応/電池交換メニューの有無を確認
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おすすめ購入先の例:ゲオモバイル/じゃんぱら/イオシス等の保証付き中古。ネット個人売買は安いが、初期不良リスクを織り込む必要あり。
長期使用でも“性能の余裕”は健在
888は発熱が弱点ですが、処理性能自体は今でも十分。SNS・動画は当然快適、中量級ゲームも屋内なら問題なし。最新世代ほどのワッパ(効率)はないものの、**“普段使いで困らない速さ”**はキープしています。
まとめ:まだ買う価値はあるか?
ある。条件付きで。
映像・音・操作感というXperiaらしい体験価値は色褪せていません。
ただし、発熱/電池/指紋/アップデートの弱点は“分かった上で買う”のが前提。
3~5万円台で良状態・保証付きが狙える今、サブ機~趣味機としての満足度は高い一台です。
Xperia 1 III をおすすめする人
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映画・アニメを4K OLEDで楽しみたい
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イヤホンジャックやLDACなど“音の自由度”を重視
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物理シャッターボタンで“撮る楽しさ”を味わいたい
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microSD/Qiなど“道具としての拡張性”を評価する
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中古でコスパ重視、サブ機・趣味機を探している
おすすめしない人
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最新OS/長期セキュリティが必須
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**真夏の屋外ゲーム(例:ポケモンGO)**を快適に遊びたい
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発熱・電池劣化に神経質/メイン機一本で長期安定を求める
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夜景のAIド派手仕上げを“オート一発”で欲しい