はじめに
イヤホン市場では「高いものほど良い音がする」と思われがちですが、中華ブランドからは時に“価格破壊”と呼びたくなるモデルが登場します。
その代表格のひとつが Tripowin Ruta10。

実売3,000円台ながらハイレゾ対応をうたい、デザインや音質でも「価格と性能が釣り合っていない」と驚かされる製品です。
今回は実際に購入して使い込み、エージング前後の音の変化も含めてレビューしていきます。
基本スペック
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ドライバー:10mm ダイナミック型
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インピーダンス:32Ω
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感度:105dB
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再生周波数帯域:20Hz〜40kHz(ハイレゾ対応)
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ケーブル端子:2pin(着脱式)、L字型ステレオミニプラグ
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実売価格:3,000円前後
3,000円台という価格で着脱式ケーブル+ハイレゾ対応という仕様は、入門機としては破格です。

外観・装着感
Ruta10はイヤモニらしいシュア掛けスタイル。
ただ、個人的には耳掛け部分のRがもう少し強ければ良かったと思います。耳からわずかに浮くのが気になる点ですね。
筐体自体の作りはこの価格帯とは思えないほどしっかりしており、安っぽさはほとんど感じません。

視聴環境
今回の試聴環境は Xperia 1 III。
アプリは Poweramp を使用し、イコライザー設定はプリセットの「ロック」、プリアンプは 6.1 まで上げています。
さらに DSEE Ultimate を有効化。ハイレゾ音源に近い補完が効くため、特にボーカルや高音域の伸びを自然に感じられました。
音質レビュー(サンプル曲を使った印象)
🔹 高音域 ― 星街すいせい「もうどうなってもいいや」
エージング前は高音が刺さり気味で、サ行やシャウト部分で耳に少し痛さを感じました。
しかし20時間ほど鳴らし込むと、角が取れてマイルドになり、ボーカルの伸びが自然に。ライブ感のある楽曲でも長時間聴きやすくなりました。
🔹 中音域 ― 米津玄師「Plazma」
ギターリフや独特なボーカルの深みがしっかり前に出てくる印象。
エージング前はやや引っ込み気味でしたが、時間をかけることで音の分離が改善され、楽器とボーカルの立体感が増しました。
中域の表現力は、この価格帯の中華イヤホンとしては驚くほど優秀です。
🔹 低音域 ― やしきたかじん「スターチルドレン」
深く沈み込むようなベースとドラムが心地よく響きます。
エージング後は低音がタイトになり、量感よりも締まりを感じさせる方向へ。厚ぼったさはなく、歌声を邪魔しないバランスに落ち着きました。
🔹 ダイナミックレンジ ― YOASOBI「勇者」
静と動の切り替えが激しい楽曲ですが、エージング後は小さな音のニュアンスから盛り上がるサビまでしっかり描写。
特にサビの広がりで音場の広さを感じられ、この価格帯のイヤホンとは思えない没入感が得られました。
🔹 全体バランス ― 鈴村健一「ババーンと推参!バーンブレイバーン」
アニメ主題歌らしい賑やかな構成でも音がごちゃつかず、ボーカル・楽器・リズムがそれぞれしっかりと分離。
ノリの良さと聴きやすさが両立していて、「万能機」として十分戦える印象です。
エージング効果まとめ
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高音 → 刺さり → マイルドに
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中音 → 引っ込み気味 → 前に出る
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低音 → 量感よりも締まりが増す
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音場 → 広がりが自然になり、没入感アップ
わずか数千円のイヤホンとは思えないほど、エージングによる成長が感じられました。
デメリット・改善点
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耳掛けのRが浅めで、装着時に少し浮く
👉 今後のモデルでは、よりフィット感のある形状に改善されることを期待したいところです。 -
耐久性は未知数(価格帯を考えると長期利用に不安は残る)
まとめ
Tripowin Ruta10は「3,000円台でハイレゾ対応&イヤモニ」というフレーズに偽りなしの一本。
エージングを経て音がこなれてくると、同価格帯のライバルを一歩抜きん出る実力を発揮します。
コスパ重視で初めてのイヤモニを探している人には、間違いなくおすすめできるモデルです。
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