Moondrop LANを開封レビュー、そしてエージング後レビューと順番に見てきましたが、いよいよシリーズの締めくくりとして final E3000 と聴き比べをしてみました。
結論から言うと、この2本は同じ価格帯ながらキャラクターがまったく違います。
LANは クリアで万能な優等生タイプ、E3000は 低音で盛り上げるパーティー野郎タイプ。
どちらも「良い音」であることは間違いないのですが、聴いてみると同じ曲でも表情が変わり、まるで違う世界に連れていかれるようでした。
今回はその違いを、実際に試聴した楽曲を交えながら紹介していきます。
高音域の違い
まずは高音域からチェックしてみました。
-
Moondrop LAN
高域はすっきりと伸びて、シンバルや女性ボーカルの高音が爽やかに響きます。
刺さるような痛さは一切なく、むしろ余韻が自然に残って心地よい印象。 -
final E3000
一方でE3000は、やはり相変わらずマイルド。
高域のキラキラ感は抑えられていて、シンバルも「シャーン」より「シャワッ」と柔らかく聞こえる感じです。
優しい鳴り方ですが、細かい音の輪郭はLANほど浮かび上がりません。
サンプル曲での違い
-
星街すいせい「もうどうなってもいいや」
-
LAN:ボーカルがスッと前に出てきて、力強さと爽快感を両立。
-
E3000:全体的に丸められて、声が柔らかく聴こえる。ただし低音が強調されすぎて、長時間だと少し疲れる印象も。
-
中音域の違い
次に中音域、つまりボーカルやギターが主役になる帯域を比べてみました。
-
Moondrop LAN
ボーカルがしっかり前に出てきて、声の芯が太く聴き取りやすい。
ギターやピアノのコード感も埋もれず、輪郭がくっきりしているので歌詞やメロディを追いやすいです。 -
final E3000
一方でE3000は中音域が少し引っ込み気味。
ボーカルが伴奏の中に溶け込んでしまうことがあり、意識して聴かないと奥に隠れてしまう印象があります。
「歌を聴く」よりも「全体を雰囲気で浴びる」ような鳴らし方です。
サンプル曲での違い
-
YOASOBI「勇者」
-
LAN:ボーカルが前に定位して、メロディがはっきりと浮かび上がる。
-
E3000:伴奏に寄り添って奥まった感じ。バンド感はあるが、声の輪郭はLANほど明確ではない。
-
LANは モニター的に“前に出す” 音作り、E3000は リスニング的に“全体で包む” 音作りという違いがここに表れています。
低音域の違い
最後に一番キャラが分かりやすい低音域を比べてみました。
-
Moondrop LAN
低音は沈み込みが深く、必要なときにズシッと鳴るけれど暴れすぎません。
タイトにまとまっていて、全体のバランスを崩さない優等生的な鳴らし方です。 -
final E3000
対してE3000は、まさに 「ドスドス系」。
キックやベースラインが前に出てきて、音楽のテンションを一気に底上げしてくれます。
ただしジャンルによっては主張が強すぎて、他の帯域をマスクしてしまうことも。
サンプル曲での違い
-
米津玄師「Plazma」
-
LAN:ベースがタイトに沈んで、曲全体をしっかり支える。
-
E3000:低音がうねって前に出すぎ、迫力はあるけど高音が後ろに隠れがち。
-
総じて、LANは 抑制の効いた優等生、E3000は 暴れん坊のパーティー野郎。
価格はLANが7,000円台、E3000は3,000円台と差がありますが、キャラの違いは金額以上にハッキリ出ているのが面白いところです。
まとめ
今回の聴き比べで分かったのは、Moondrop LANとfinal E3000は性格がまったく違うということ。
-
LAN → クリアでバランス重視。万能な優等生タイプ。ジャズやクラシックのように分離と定位が大事なジャンルで特に真価を発揮。
-
E3000 → 低音の迫力重視。暴れん坊のパーティー野郎タイプ。ロックやEDMでテンションを上げたいときに最適。
価格はLANが7,000円台、E3000が3,000円台と差はあるものの、聴き比べると金額以上のキャラの違いを体験できます。
どちらも「良い音」には違いなく、むしろ両方持つことで 気分やシーンに応じた使い分け ができるのが最大の魅力です。
LANでじっくり音に浸る日もあれば、E3000でドスドス低音に揺られる日もある。
そんなふうに2本を並行して楽しめるのは、オーディオ趣味ならではの贅沢ですね。