導入
CHU2を一晩かけてエージングした。
全帯域を均等に鳴らす音源をループ再生し、いつも通りXperia+Powerampの環境で一晩中再生。
この「儀式」を通すと、不思議とイヤホンの芯が整ってくる──そんな実感がある。
Moondropのイヤホンは、最初から完成度が高い。
だからこそ、CHU2がどんな変化を見せるのかは正直あまり期待していなかった。
LANの弟分として、既に“優等生”の評価を得ているモデル。
もし大きな変化があるとすれば、それはエージングというより“慣れ”の範囲かもしれない。
それでも、確認せずにはいられない。
あの金属筐体が夜通し震え続けたあとに、どんな音を聴かせてくれるのか。
そして本当にLANと肩を並べられるのか──。
音の変化と印象
一晩のエージングを終えて最初に感じたのは、変化の少なさ。
だが、それは「伸びしろがない」のではなく、最初から完成されていたということだ。
CHU2は初期状態でもすでにまとまりがあり、エージング後はそのバランスがさらに滑らかになった印象だ。
高音域はLANと同様、刺さることなくスッと伸びる。
初期の段階では少し硬さを感じる部分もあったが、エージング後は角が取れてより自然に。
シンバルの余韻やボーカルの息づかいが柔らかく、長時間聴いても疲れにくい。
中音域はMoondropらしい安定感がそのまま健在。
ボーカルが適度に前へ出てくるが、自己主張しすぎない。
楽器との距離感も絶妙で、音が“前に出る”というより“すっと溶け込む”ように聴こえる。
結果として、どんなジャンルでも自然に流せる万能さが際立った。
低音はタイトで沈み込みも十分。
過度に膨らまないのに、芯のある響きが残る。
ロックでもエレクトロでも、ベースが全体を支えるように鳴ってくれる。
「低音が控えめ=迫力不足」ではなく、あくまで聴き心地を優先した正確な鳴り方だ。
総じて、CHU2はLANと比べてもほとんど差がない。
だが“違いがない”という事実こそ、設計の完成度の高さを物語っている。
派手な変化よりも、耳に馴染む安定感。
このイヤホンは、毎日の音楽を穏やかに支える相棒のような存在だ。
試聴トラック別インプレッション
CHU2でも、成田ラボ恒例の7曲を使って試聴してみた。
結果はLANとほぼ同等の傾向だが、いくつか個性も見えてきた。
-
星街すいせい「もうどうなってもいいや」
→ ボーカルの張りが自然で、全体のまとまりも良い。派手すぎず、耳に心地よい。 -
米津玄師「Plazma」
→ 低音の締まりが良く、ベースラインの沈み込みもLANと同レベル。
高音がやや軽やかで、明るく聴こえるのがCHU2らしい。 -
やしきたかじん「スターチルドレン」
→ アナログ感のあるボーカルが滑らかで、聴きやすい。
派手な見た目に反して、音のトーンは真面目。 -
YOASOBI「勇者」
→ 中音域の表現が上品で、LAN譲りのバランス感。
サビの盛り上がりも崩れず安定している。 -
鷺巣詩郎「EM20 = wunder operation =」
→ オーケストラの広がりは控えめだが、定位はしっかり。
迫力よりも聴きやすさ重視のチューニング。 -
Hardfloor「Acperience7」
→ 電子音の粒立ちが整っていて、ビートの勢いも十分。
タイトでリズム感の良い鳴り方。 -
鈴村健一「ババーンと推参!バーンブレイバーン」
→ 元気な曲調との相性も良く、ボーカルが埋もれない。
CHU2の軽快さがプラスに働いている。
LANとの関係性
エージング後でも、やっぱりLANとは良い意味で似ている。
音の方向性もバランス感もほぼ同等で、両者を聴き比べても差はわずか。
唯一の違いは外観のキャラクターくらいだ。
LANが「真面目な兄」なら、CHU2は「ちょっと派手な弟」。
けれど、どちらも同じ家系の音を受け継いでいて、安心して“Moondropの音”を楽しめる。
まとめ
CHU2は、エージング後も大きな変化がない安定感が魅力。
最初から完成されていて、余計な癖もない。
価格を考えれば、LANと肩を並べるほどの実力であり、
まさに「派手な見た目の双子の弟」という言葉がぴったりな一本だった。
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