
① 導入:Xperia 1 III のDACが死亡し、代替機を探すことに
長年使ってきた Xperia 1 III の内蔵DACがついに限界を迎えた。
左右の音量差、そしてボリュームを上げると発生するビビり音──
音楽を楽しむどころか、まともに聴くことすら難しい状態だ。
外部DACを噛ませれば一応聴けるものの、
「スマホ単体で音楽が完結しない」というのは、地味にストレスが大きい。
そこで私は、小型DAPを導入して音楽再生を完全に分離するという方向に舵を切った。
② じゃんぱら川越で見つけた HiBy Digital M300(17,980円)
代替候補を探しに久々に足を運んだのは
じゃんぱら川越クレアモール店。
そこで店頭にひっそりと置かれていたのが、今回の主役
HiBy Digital M300。
価格は 17,980円。
レジに持ち込むと、スタッフさんが少し寂しそうに、でも嬉しそうに言った。
「これ人気モデルなんですけど、中々売れなくて、ずっと店頭にあったんですよね…
買っていただいてありがとうございます」
──こういう“縁”はガジェット好きにとって弱い。
気付けば私はM300を連れて帰っていた。
③ 外観と質感:小型なのに“ずっしり”。高級感あり
手に取った瞬間まず驚いたのが、
**「小さいのに意外と重い」**という点。
軽さで誤魔化す安物感ではなく、
内部がみっちり詰まっている“密度のある重さ”で、
手触りからすでにオーディオ機器としての説得力がある。
さらに、技適マークも本体でしっかり確認済み。
この手の中華DAPでは重要なポイントだ。
サイズはコンパクトで、片手での出し入れ・操作は容易。
小さなボディに必要な要素がぎゅっと詰まった印象だ。
④ セットアップ:画面は小さいが、音楽用なら十分
初期セットアップでは、画面の小ささが少しストレスになる。
GoogleアカウントログインやWi-Fi設定は、
スマホに比べるとタップ領域が狭く、指先に気を遣う。

ただし、これは“DAPでAndroidを動かす”構造上の宿命。
セットアップが終われば、日常では Powerampと音量操作くらいしか使わないため問題は消える。
■ 音楽転送は「microSDに直接書き込み」が最速
M300本体経由ではなく、以下の手順で転送を実施:
この方法が圧倒的に早く、DAP運用の王道だ。
■ Snapdragon 665の挙動(用途を割り切れば問題なし)
スマホ代わりにはならないが、
**“音楽専用機としては必要十分”**という割り切りができる。
⑤ 私がM300を選んだ理由(DAP選定基準)
今回の購入で重視していたのは、わずか 2つ。
1. ハイレゾ対応であること(Poweramp前提)
私はローカル音源をPowerampで聴き続けてきたので、
24bit / 96kHz以上がしっかり鳴らせることは必須条件だった。

M300はこの要件をクリアし、
音源のポテンシャルを素直に引き出せる。
2. Android搭載であること(Powerampを使いたい)
Powerampの設定データをXperiaからそのまま移植できるため、
音の傾向をゼロから作り直す必要がなかった。
これがM300選択の最大要因。
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HiBy純正プレイヤーは使用していない
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移植後の音はXperia時代とほぼ同じ
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ただし M300 は出力が控えめ
→ Poweramp側でプリアンプ +12 に設定して調整
■ WALKMAN A300 も候補だったが──
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ソニーの音は良い
-
完成度も高い
…とはいえ、
17,980円でAndroid搭載DAPとして買えるM300のコスパが勝った。
⑥ 音質レビュー:Powerampを移植した結果、音は“いつもの私”に戻った
今回のM300は、HiBy純正プレイヤーではなく Poweramp一本で運用している。
Xperia 1 III から設定データをそのまま移植しているため、
**音の傾向は当然ながら「ほぼ完全にXperia時代と同じ」**だ。
XperiaのDACが死亡してから音が崩壊していたので、
“本来の音がそのまま取り戻せた”という点こそ、M300最大の価値と言える。
■ テストに使用したイヤホン・ヘッドホン
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Moondrop LAN(水月雨 蘭)
→ 解像度が高く、音の変化が分かりやすいリファレンス寄り -
ATH-M20xBT(有線接続)
→ モニター系で低音~中音の変化が把握しやすい
この2つを使って、成田ラボ恒例の「固定7曲」でチェックした。
■ 固定7曲でのチェック(ざっくり総評)
1. もうどうなってもいいや(星街すいせい)
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ボーカルの距離感は従来通り
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歪みゼロ、左右バランスも正常に復帰
→ Xperia死亡時に崩れていた“センターイメージ”が完全に治る
2. Plasma(米津玄師)
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低音の厚みがちゃんと戻った
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M300の出力の控えめさはPowerampの+12で十分補正
→ 全体バランスは“いつものPlasma”
3. スターチルドレン(やしきたかじん)
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中音域の伸び、声の艶がXperia時代完全復活
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LANで聴くと違いが一発で分かる
→ 「あ、ちゃんと戻ったな」と感じた1曲
4. 勇者(YOASOBI)
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多層的なアレンジでも音の分離が安定
→ 音の密度が落ちていたXperiaから比べて雲泥の差
5. EM20(鷺巣詩郎)
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オーケストラ楽曲の空気感・広がりが正常に
→ ノイズ・歪みが消えた影響が大きい
6. Acperience 7(Hardfloor)
7. ババーンと推参!(ブレイバーン)
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高音の抜けが正常に戻る
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LANとの相性が良く、元気に鳴る
→ 何も問題なし
■ 結論:音は“変わらない”のが正解であり、最高の結果
✔ 音の傾向はXperia(正常時)から変化なし
✔ Powerampの設定を移植したため、EQも質感も完全一致
✔ M300本体の出力は控えめだが、Powerampの+12で補正できる
✔ DAC死亡で壊れていた音が“元通りの私の音”に戻った
つまり今回のM300は、
👉 新しい音を出すDAPではなく、Xperiaが壊れる前の“本来の音を完全復旧させる道具”
という位置づけになる。
これはDAPを買う上で、実は最も価値のある結果だと思う。
⑦ 機能面まとめ:小型DAPとして“必要なところだけ押さえた”設計
HiBy M300 は、小型DAPとしては珍しい「Android搭載」かつ「低価格帯」のモデル。
そのため機能はハイエンドDAPほど盛られていないが、音楽専用機としての必須ポイントはしっかり押さえている。
■ ストリーミング再生:普通に使える(速度は控えめ)
Spotify、YouTube Music、Apple Musicなど主要サービスはすべて動作する。
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再生そのものは安定
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UIの動作はゆっくりめ(Snapdragon 665相応)
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早送り・曲送りも問題なし
ストリーミング主体でも十分運用できるが、快適さを求める端末ではない。
あくまで “DAPにストリーミング機能が付いている” 程度の認識がいい。
■ 操作性:画面は小さいが、音楽再生なら困らない
5インチ以下の小型スマホを使っている感覚に近い。
通知や設定欄は窮屈だが、実際に日常で触るのはPowerampの操作がほとんど。
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再生・停止・曲送りは指が慣れれば問題なし
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ホームボタン周りは少し押しにくい
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音量ボタン100段階で細かい調整が可能(ただし出力は控えめ)
音楽専用機なので、画面の小ささは実使用にほぼ影響しない。
■ バッテリー持ち:まぁ普通
特別長持ちではないが、短いわけでもない。
“DAPとして必要十分”の範囲に収まっている。
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ローカル音源中心ならしっかり持つ
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ストリーミング中心だと減りは早め
-
1日使って帰宅まで保つレベル
モバイルバッテリーが必要になるほどの弱点ではない。
■ USB関連:外部DACとしての利用は不可(重要)
❌ M300は外部DACとして使うことはできない
理由:
M300は USBオーディオ“入力”に非対応。
つまり、スマホの音声データを受け取って処理するモードが存在しない。
⭕ M300 → 外部DACへ出力 は可能
(USBデジタルアウトとして使える)
ただしこれは
「M300を音源として使う時に外部DACへ出す」
という用途であり、
スマホのUSB-DAC代わりになるという意味ではない。
■ その他の特徴(簡易まとめ)
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microSDに直接書き込みできるため、ライブラリ管理は快適
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容量制限は特になし(2TBも使用報告あり)
-
軽量DAPより密度があるため“安っぽくない質感”
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通知・着信などのスマホ的機能を音楽視聴と切り離せるのが最大のメリット
⑧ 総評:HiBy M300 は“刺さる人には刺さる”独特の立ち位置のDAP
HiBy M300 は、派手さも高級感も“大迫力の音”もない。
しかし、使い込んでいくと分かる。
「あ、このDAPは“ここ”を狙って作ってるんだな」
という独自のポジションがしっかり存在する。
それは──
“スマホの代わりではなく、音楽だけを切り出す小さな相棒”
という立場。
Xperia 1 III のDACが死んでしまい、私にとって音楽環境は一時崩壊したが、
M300は「本来の音を取り戻す」という意味で完璧な選択肢だった。
■ 良い意味で“クセがあるDAP”
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Snapdragon 665 の動作は控えめ
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画面は小さく、UIは広くない
-
出力は控えめで、Poweramp側の補正が前提
-
外部DACとしては使えない
スペックだけ見れば「普通」で終わるかもしれない。
だが、逆に言えば──
こうして並べて見ると、
“同じ価格帯に実は代わりが存在しないDAP” であることが分かる。
■ Xperiaの“本来の音”をそのまま取り戻せたのが最大の価値
今回のM300は、
新しい音を求めた買い物ではなく、
「壊れた音を元に戻すための最適解」
として選ばれた。
Powerampの設定を移植するだけで、
“あの頃の音”がそのまま帰ってきたのは大きい。
高音質化を追うDAPではなく、
音楽鑑賞の生活を正常化するDAP という言い方が正しい。
■ 誰に向いてるDAPか?
✔ Powerampユーザー(ほぼベストマッチ)
手元の音を復旧・維持する用途ならドンピシャ。
✔ Android搭載DAPが欲しい人
安価に手を出す入り口として完璧。
✔ スマホとは別に音楽専用機がほしい人
通知や着信に邪魔されず、音だけに没入したい層に合う。
✔ 重装備なDAPはいらないが、最低限の質は欲しい人
A300 が気になりつつも、価格や自由度で悩む層に刺さる。
■ 逆に、向かない人
こうしたニーズにはM300は絶対に合わない。
■ 最後のまとめ:M300は“代替品”ではなく“生活に溶け込むDAP”
HiBy M300 は、
買って「うおおお音すげぇ!」となるタイプのDAPではない。
だけど、音楽を日常の中で静かに、自然に、
無理なく楽しむための一台としては極めて優秀。
Xperiaが壊れて音楽が崩壊した私にとって、
M300は“代役”ではなく、
音楽の生活を取り戻してくれた相棒という位置づけになった。
[追記]長期使用で気付いた点:外付けDAC・Type-Cイヤホン接続時の音量制御
しばらくM300を使い込んでいて、ひとつ気になる挙動があった。
外付けDACや Type-C イヤホンを接続した場合、
本体の音量調整が「100段階」ではなくなる。
内蔵3.5mm出力では100段階で非常に細かく音量調整できるのに対し、
USB経由(外付けDAC/Type-Cイヤホン)では
音量ステップが荒くなり、微調整が効かなくなる。
おそらくこれは、
このあたりが絡んだ仕様上の制限だと思われる。
実際のところ「不具合」というより
**“そういう挙動をする設計”**と考えた方が自然だ。
■ 何がイマイチか?
-
音量の「ちょうどいいところ」を探しにくい
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小音量で聴きたい時に調整がシビア
-
内蔵出力との使い勝手に差が出る
特に、
M300の内蔵出力が100段階で非常に優秀なだけに、
USB接続時の差が余計に目立つ。
■ どう割り切るべきか
M300は本質的に、
として設計されている。
外付けDACやType-Cイヤホンは
“使えなくはないが、ベストな使い方ではない”
という立ち位置だろう。
今回の自分の用途(Poweramp+有線イヤホン直挿し)では問題にならないが、
USBオーディオ運用を重視する人にとっては
確実にマイナスポイントになる。
■ 正直な評価
-
仕様として理解はできる
-
ただし「惜しい」と感じる部分でもある
-
内蔵出力が優秀だからこそ、なおさら目立つ
完璧ではないが、用途を絞れば十分に満足できるDAP。
この評価は、長期使用しても変わらなかった。
購入時に最後まで悩んだのがWALKMAN A300でした
