
オーディオオタクに片足を突っ込み始めると、
どうしても気になってくるメーカーがある。
最大手のひとつ、SHURE。
定番、モニター、業務用。
名前はよく聞くけれど、
「実際どんな音がするのか」は、ちゃんと聴いたことがなかった。
というわけで、
SHUREの世界はどんな音をしているのか。
気になったので、AONIC 215を買ってみた。
正直に書くと、
良くも悪くも普通のイヤホンという印象が最初に来た。
価格はおよそ15,000円。
その価格帯として考えると、
「あれ、音ってこんなもんだっけ?」
という、わずかな落胆があったのも事実だ。
派手さはない。
低音が強調されるわけでもなく、
高音が伸びてくる感じもない。
🎛 ただし、モニターイヤホンとして見ると話が変わる

しばらく聴いていて気づいたのは、
音の定位がとても分かりやすいという点。
-
楽器の位置が把握しやすい
-
音が前に出てこない
-
全体が一歩引いた位置に整っている
これは、
「楽しく聴かせる音」ではなく、
状況を把握するための音だ。
🎧 モニターヘッドホンとは違う“有り”
モニター用途というとヘッドホンを思い浮かべがちだが、
AONIC 215はイヤホンとして、
-
軽い
-
取り回しが良い
-
密閉感が高い
という別の利点がある。
モニターヘッドホンとは役割が違うが、
これはこれで“有り”な選択肢。
そう感じた。
🚶 普段使い用ではない
一方で、
-
外で音楽を楽しみたい
-
テンションを上げたい
-
気持ちよく聴きたい
そういう用途には向かない。
これは普段使い用のイヤホンではない。
📌 ファーストインプレッションまとめ

-
音楽を楽しむイヤホンではない
-
価格を考えると派手さはない
-
ただし、モニター用途としては納得感がある
AONIC 215は、
「普通」に聞こえること自体が価値のイヤホン。
🎼 固定試聴曲(7曲)での所感
■ もうどうなってもいいや(星街すいせい)
-
電子音が多い構成のため、やや篭もり気味に聴こえる
-
ただし、音の分離ははっきりしており、各音の位置は把握しやすい
■ Plasma(米津玄師)
-
印象は上記とほぼ同じ
-
密度の高いトラックでも、音が潰れず整理されている
■ スターチルドレン(やしきたかじん)
-
ドラムとギターのバランスが良い
-
ボーカルがしっかり中央に定位しているのが分かる
■ 勇者(YOASOBI)
-
意外にも低音のキック感がある
-
楽器とボーカルの分離が明瞭で、混雑感が少ない
■ EM20 = wunder operation =(鷺巣詩郎)
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オーケストラとしての臨場感は控えめ
-
ただし、全体の音量バランスは非常に整っている
■ Acperience 7(Hardfloor)
-
キックのアタック感が気持ちいい
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量感も十分で、リズムの輪郭が掴みやすい
■ ババーンと推参!バーンブレイバーン(鈴村健一)
-
全体的にかなりハッキリ聴こえる
-
ブレイバーンの主張が強めで、正直うるさい
🧠 固定曲から見えるAONIC 215の傾向
-
音の分離・定位は一貫して良好
-
派手さや広がりは控えめ
-
情報量を整理して提示するタイプ
音楽を“楽しませる”というより、
音の配置を“把握させる”イヤホン。
ファーストインプレッションで感じた
「モニターイヤホンとして有り」という評価を、
この7曲でも裏付けている。
全体を通して、
分離と定位の良さは一貫している。
派手さよりも整理された音を重視したチューニングだと感じた。
🔄 エージング後の変化について
結論
特に変化は感じられなかった。
エージング前後で、
-
音のバランス
-
解像度
-
低音の量感
-
高音の抜け
いずれも、明確な違いは確認できなかった。
🎧 聴感上の変化(あえて言うなら)
強いて言えば、
-
音の角が取れた……ような気がしなくもない
-
ただし、気のせいと言われたら否定できない
その程度。
「お、変わったな」と思える瞬間はなかった。
🧠 なぜ変わらないのか
これはネガティブな話ではない。
AONIC 215は、
-
最初から音が整っている
-
チューニングが完成している
-
エージングで“化ける余地”が少ない
そういうイヤホンだと思う。
完成度が高いから、変わらない。
📌 エージング編の結論
-
エージングによる音質変化はほぼ無し
-
ファーストインプレッションがそのまま最終評価
-
「育てるイヤホン」ではない
最初に聴いた音が、AONIC 215の音。
⚠ 不満点・気になった点
AONIC 215は全体として完成度は高いが、
実際に装着して使ってみると、気になる点もいくつかあった。
■ MMCXコネクタがクルクル回る
ShureのイヤホンらしくMMCXコネクタを採用しているが、
このコネクタがかなり自由に回転する。
-
装着時に角度が定まりにくい
-
耳に掛ける位置がズレやすい
-
慣れるまで装着に手間取る
イヤホン自体は軽いのに、
装着の安定感が思ったほど高くない。
モニター用途を想定しているなら、
もう少し装着時の「決まりやすさ」が欲しかった。
■ イヤーピースが特殊形状で汎用品が使えない
もう一点気になったのが、イヤーピースの互換性。
-
形状が独特
-
一般的な市販イヤーピースがほぼ使えない
-
実質、純正イヤーピース前提の運用になる
イヤーピース交換で音や装着感を調整する、
という楽しみ方ができないのは少し残念。
🧠 これらの不満点を踏まえて
-
音はフラットで整理されている
-
モニター用途としての方向性は理解できる
-
ただし、装着性の自由度は低め
「音を確認するための道具」と割り切れば問題ないが、
日常的に気軽に使うイヤホンではない。
🔌 FiiO KA11を挟んでみた結果
結論
音は少し良くなるが、ノイズが乗る。これはダメ。
AONIC 215に FiiO KA11 を接続して聴いてみた。
🎧 音質面の変化(良かった点)
確かに、変化はある。
-
音の輪郭がわずかに整理される
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全体の解像度が少し上がったように感じる
-
情報量が増え、モニター的な聴き取りやすさは向上
「あ、音はちょっと良くなったな」
とは思う。
⚠ ただし、ノイズが乗る
問題はそこではない。
-
無音時に明確なノイズが乗る
-
曲間や静かなパートで気になる
-
モニター用途では致命的
音がどうこう以前に、
ノイズが気になって集中できない。
この一点で評価は大きく下がる。
🧠 なぜダメなのか(推測)
これはKA11が悪いというより、
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AONIC 215が高感度
-
ノイズを拾いやすい
-
KA11の性格と噛み合っていない
そういう相性の問題だと思う。
他のイヤホンでは問題にならなかったノイズが、
AONIC 215だと前に出てくる。
📌 KA11 × AONIC 215 の結論
-
音質改善効果はある
-
だが、ノイズが致命的
-
この組み合わせはおすすめできない
少し良くなるが、
その代償として失うものが大きい。
🧠 成田ラボ的まとめ
AONIC 215は、
KA11を挟む意味は薄い。
総合評価
AONIC 215は、
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音楽を楽しむイヤホンではない
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派手さもない
-
化けるタイプでもない
その代わり、
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音の定位が分かりやすい
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バランスが崩れない
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モニター用途としての価値がある
「普通」に聴こえること自体が価値のイヤホン。
普段使いには向かないが、
用途がハマれば納得できる一台だ。
こんな人には向かない/向いている
向かない
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楽しく音楽を聴きたい
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低音の迫力を求める
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イヤーピースで音を追い込みたい
向いている
-
音の位置関係を把握したい
-
モニター用途で使いたい
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派手さより安定感を重視する
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