narita-lab’s blog

成田ラボ 〜テクノロジーと雑学の観察日記〜

ChatGPTのイラスト生成機能を最大限に活用する方法 ── 理解・分解・再構築という考え方

はじめに:AIイラストは「魔法」じゃない

ChatGPTでイラストを生成・編集できるようになり、
「もう何でもできるのでは?」と思った人も多いかもしれない。

だが実際に触ってみると、

  • 勝手にポーズが変わる

  • 似すぎていて公開が怖い

  • 思った通りに制御できない

といった壁にぶつかる。

この記事では、
**「完成したイラストを作ること」**を目的にしない。

代わりに、

  • ChatGPTに何ができて

  • 何が苦手で

  • どう付き合うと楽しくなるのか

を、実体験ベースで整理していく。


⚠️ 先に大事な話:公開していいイラストと、そうでないもの

本題に入る前に、ひとつだけ釘を刺しておきたい。

この記事で触れる検証の中には、
著作権法的にアウトになり得るイラストも含まれる。

そういったものは外部に公開せず、
あくまで自分の端末内で楽しむだけにしておこう。

AIは非常に柔軟だ。
だが、その分、使う側が一線を引く必要がある

この記事は、その線を踏み越えるためのものではない。


第1章:AI(ChatGPT)でイラストを生成・理解させる

── まずは描かせる。でも、完成させない

今回の検証では、
いきなり全身イラストを生成しない。

ベースとして用意したのは、

  • 女学生

  • 明るい茶髪、腰までの長さ

  • 頭から太もも途中まで

という、あえて未完成のイラストだ。

なぜ最初から完成させないのか。

理由は単純で、
どこまでが確定情報で、どこからが未定義なのか
を明確にしたかったからだ。

ChatGPTは、
Stable Diffusionのように学習を積み重ねるわけではない。

その場でイラストを「理解」し、
条件に従って再構成しているだけだ。

 

 

ここでは、今回の検証で実際に使った
ベースイラスト生成用のプロンプトを掲載する。

解説用の素材なので、
完成イラストを作るためのものではない。

とりあえず試したい人は、
このまま使ってもらって構わない。

 

プロンプト

ブログ解説用のオリジナルイラストを生成してください。

・アニメ調のイラスト
・女学生
・髪色は明るい茶髪
・髪の長さは腰まで
・髪型や表情は控えめで、特定のキャラクター性を持たせない
・目や顔立ちは平均的で、記号性を強くしない

服装について:
・学生風の服装だが、特定の作品や学校を連想させない
・一般的で汎用的なデザイン
・装飾は少なめ

ポーズ・構図:
・自然な立ち姿
・誇張のない体型
・説明用モデルとして分かりやすい構図

描写範囲:
・頭から太もも途中までを描写
・それより下(脚全体・足先)は描写しない

これは完成イラストではなく、
後から「補完(アウトペインティング)」の手法を
解説するためのベース素材です。

 

「完成させない」と明示することで、
後の補完作業がやりやすくなる。


第2章:理解・分解・再構築という考え方

── 鋼の錬金術師に学ぶAIの扱い方

ここで少し、漫画『鋼の錬金術師』の話をする
(※作中のイラストやキャラクターは一切使用しない)。

作中で描かれる錬金術には、
必ず次の工程がある。

  1. 理解

  2. 分解

  3. 再構築

対象を理解せずに錬成すれば、失敗する。
触ってはいけないものに手を出せば、代償を払う。

これはAIイラストでも同じだ。

ChatGPTにイラストを扱わせるときに重要なのは、

  • 何を変えるか

  • 何を変えないか

先に決めること

顔立ち、体型、ポーズといった
アイデンティティに直結する部分」は固定し、

服装や、未定義の領域だけを
差分として再構築させる。

これは「学習」ではない。
一時的な理解と、条件付きの再構成だ。


ここまでのまとめ(途中整理)

この時点で、やっていることはシンプルだ。

  • AIに覚えさせない

  • まず理解させる

  • 触る場所と触らない場所を分ける

  • 完成させず、段階を刻む

派手さはない。
だが、この地味な工程が、
後の服装変更や補完作業を安定させる。

 

第3章:服装変更で遊んでみよう

── 変える前に、変えない部分を決める

理解と分解が終わったら、
次は少し肩の力を抜いて、服装変更で遊んでみる

ここで重要なのは、
「どう変えるか」よりも、
**「何を絶対に変えないか」**を明示することだ。

具体的には、

  • 顔立ち

  • 体型

  • ポーズ

  • 全体の雰囲気

これらは完全に固定する。

その上で、

  • 服装だけを削除する

  • 新しい服装に置き換える

という差分再構築を行う。

ここでやりがちな失敗が、

  • 「自然に変えてください」

  • 「可愛くしてください」

といった曖昧な指示だ。

ChatGPTは親切なので、
こうした指示を出すと、

  • 表情を変え

  • 体型を微調整し

  • 全体を“それっぽく最適化”

してしまう。

それを防ぐために必要なのが、
再解釈を禁止する指示だ。

服装変更は、
新しい人物を作る作業ではない。

既にある人物に、
別の服を着せるだけ

この意識を持つだけで、
結果はかなり安定する。

 

次は、人物の雰囲気を保ったまま

服装だけを変更するためのプロンプト例だ。

ポイントは、
「変える部分」と「変えない部分」を
はっきり分けること。

プロンプト

この人物の顔立ち、体型、ポーズ、雰囲気は
一切変更しないでください。

再解釈や描き直しは禁止します。

変更するのは服装のみです。
既存の服装を完全に削除し、
指定した服装に置き換えてください。

人物のアイデンティティ
変わらないことを最優先してください。

 

この下に
「ここに変更したい服装の内容を書く」と成功率が上がる。


第4章:足りない部分を補完してみよう

── 描き足しは、描き直しではない

次に行うのが、
描写されていない部分の補完、
いわゆるアウトペインティングだ。

今回のベースイラストでは、
描写は太もも途中までに留めている。

つまり、

  • そこまでは確定情報

  • それより下は未定義

という状態になっている。

ここで重要なのは、
一気に完成させようとしないこと

太もも下から足先までを
一度に描かせると、
ChatGPTは全身バランスを再計算しようとする。

その結果、

  • 重心がズレる

  • ポーズが変わる

  • 上半身まで影響を受ける

といったことが起きやすい。

対策はシンプルだ。

  • 既存部分は変更禁止

  • 補完する範囲を明示

  • 段階的に描き足す

「自然に補完してください」ではなく、

これは描き直しではなく、補完です。
既存の構造を再設計しないでください。

と、意図をはっきり言葉にする

ここでも、
触ってはいけない領域を守る意識が効いてくる。

鋼の錬金術師で言えば、
人体錬成が禁忌であるのと同じだ。

 

最後に、
描かれていない部分だけを描き足すための
補完用プロンプトを紹介する。

これは「描き直し」ではなく、
あくまで「補完」であることを
明示するのが重要だ。

 

プロンプト

既存部分(顔、上半身、太ももまで)は
一切変更しないでください。

補完するのは、
描かれていない部分のみです。

体型、重心、ポーズを再設計せず、
既存の構造から自然に延長する形で
描き足してください。

これは描き直しではなく、
補完です。

 

一度に完成させようとせず、
必要なら段階的に補完すると安定しやすい。


第5章:ChatGPTはStable Diffusionの代替にはならない

ここで、はっきり書いておきたいことがある。

ChatGPTのイラスト生成機能は、
Stable Diffusionの代替にはならない。

キラキラしたエフェクト、
情報量の多い背景、
いわゆる「盛り盛り」のイラストが欲しいなら、
大人しくStable Diffusionを使った方がいい。

これは優劣の話ではない。

得意分野が違うだけだ。

  • Stable Diffusion
    → 表現・演出・画面圧

  • ChatGPT
    → 構造理解・差分変更・補完制御

今回紹介している使い方は、
後者に特化している。

ChatGPTは、
派手な絵を一発で出す道具ではない。

考えながら、一緒に組み立てる道具だ。


第6章:この方法が向いている人/向いていない人

最後に、
この手法が向いている人と、
そうでない人を整理しておく。

向いている人

  • AIに指示を出すのが好きな人

  • なぜ崩れたかを考えるのが楽しい人

  • プロセスそのものを楽しめる人

  • 著作権や運用も含めて考えたい人

向いていない人

  • 一発で派手なイラストが欲しい人

  • プロンプトを考えたくない人

  • Stable Diffusion的な使い方を期待している人

どちらが良い・悪いではない。
目的が違うだけだ。


⚠️ まとめ:AIは自由だが、使う側の責任は残る

AIで生成・編集したイラストは、
作れたからといって
公開していいとは限らない。

明らかに既存作品を想起させるものや、
グレーなものについては、
外部に出さず、
自分の中で楽しむだけにしておこう。

AIは面白い。
突き詰めるほどに、
その奥行きに気づかされる。

だがそれは、
何でもできる魔法だからではない。

理解し、
分解し、
再構築する。

その工程を楽しめる人にとって、
AIはとても素直で、
とても面白い道具になる。