導入
その2では、
MEシャーシにライトダッシュモーターPROと3.7:1ギアを組み込み、
一段階引き上げる改造を行った。
正直、感触はかなり良かった。
速すぎず、扱いやすく、挙動も読みやすい。
ただ、ここで一つ気になる。
この「ちょうどよさ」は、本当に感覚だけの話なのか?
実はタミヤは、
VZシャーシ アドバンスパックという形で、
かなり近い答えをすでに出している。
今回はそれを“教科書”として、
モーターとギア比、そしてセッティングの考え方を
もう一段掘り下げてみたい。
1. VZシャーシ アドバンスパックとは何か

VZシャーシ アドバンスパックは、
一見すると「素組みよりちょっと良いパーツが入ったキット」に見える。
でも、ちゃんと中身を見ると、
あれは単なる初心者向け強化キットじゃない。
タミヤが考える“ちょうどいいセッティング”を、
最初から形にしたパッケージだ。
まず注目したいのは、
極端なことを一切していない点。
-
モーターは最上位ではない
-
ギア比も尖っていない
-
ステー構成も盛りすぎていない
なのに、
「ちゃんと走る」「扱いやすい」「再現性が高い」。
ここが重要だと思っている。
VZアドバンスパックは、
速さを見せつけるための構成ではない。
-
安定して走る
-
調整の方向性が分かりやすい
-
ここから先を考えやすい
そういう意味で、
メーカーが用意した模範解答に近い。
その2でやった
ライトダッシュモーターPRO+3.7:1ギアの構成も、
考え方としてはこれとかなり近い。
いきなり限界を攻めない。
まずは、
「回転を無理なく使えるところ」に落とし込む。
VZアドバンスパックは、
その思想を最初から形にしている。
だからこのキットは、
「買って組んで終わり」じゃない。
セッティングの考え方を学ぶための教材
として見ると、一気に価値が上がる。
MEシャーシ改造論・その3では、
このVZアドバンスパックを“教科書”として、
次の章で
モーターとギア比の話を掘り下げていく。
2. なぜこのモーターとギア比なのか
VZシャーシ アドバンスパックを見ていて、
一番分かりやすいメッセージはここだと思う。
パワーで押し切ろうとしていない。
最上位モーターを入れていないし、
ギア比もスピード全振りではない。
なのに、走りは安定していて、再現性も高い。
注目すべきなのは、
モーターとギア比がセットで考えられている点。
-
モーターだけを強くしない
-
ギア比だけを尖らせない
-
回転を無理なく使い切るところに落とす
これは、その2でやった
ライトダッシュモーターPRO+3.7:1ギアの考え方と、
ほぼ同じ方向を向いている。
その2では、
ライトダッシュを「肩慣らし」として使った。
理由は、
-
駆動の状態が分かりやすい
-
暴れにくい
-
セッティングの変化を素直に返す
だったけど、
VZアドバンスパックも、
まさに同じ狙いで構成されている。
ここで重要なのは、
回転数を上げること自体が目的じゃないという点。
-
トルク側に余裕を持たせる
-
ギアで受け止める
-
無駄なロスを増やさない
この考え方があるから、
パワーを上げなくても、
「ちゃんと走る」状態が作れる。
その2で、
3.5:1から3.7:1にギア比を振ったのも、
速さを捨てたわけじゃない。
回転を使い切るための選択だ。
VZアドバンスパックは、
最初からそれをやっている。
だから、
「感覚的にちょうどいい」で終わらせず、
「公式も同じことをしている」と理解できる。
モーターとギア比は、
別々に考えるものじゃない。
セットで考える。
その2でやった実践は、
VZシャーシ アドバンスパックという形で、
ちゃんと裏付けが取れる。
3. なぜこのステー構成なのか
VZシャーシ アドバンスパックを見ていて、
次に気づくのがステー構成の控えめさだ。
いかにも速そうなフルカーボン構成でもなければ、
派手なギミックが入っているわけでもない。
でも、走りは安定している。
ここにも、はっきりした意図がある。
まず前提として、
VZアドバンスパックは剛性を上げすぎていない。
-
シャーシのしなりを殺していない
-
必要な部分だけを補強している
-
全体のバランスを優先している
「固ければ正義」ではない、という考え方だ。
その2で、
MEシャーシにARシャーシ用FRPステーを使ったのも、
実は同じ発想に近い。
-
いきなりカーボンに行かない
-
必要な場所に、必要な分だけ
-
ブレを抑えるための剛性
これは、
VZアドバンスパックのステー構成を見ていると、
かなり納得できる。
ここで大事なのは、
剛性は「足す量」より「足す場所」。
-
どこでマシンが暴れるか
-
どこが弱点になりやすいか
-
どこを抑えれば挙動が落ち着くか
VZアドバンスパックは、
それを最初から考えた配置になっている。
ギミックを入れないのも、
この段階では合理的だ。
-
剛性の影響が分かりやすい
-
セッティングの方向性を見失わない
-
再現性が高い
「まずは動かさない」
という選択が、
結果として一番学びが多い。
MEシャーシ改造論として見ても、
ここはそのまま当てはめられる。
-
FRPで十分な場面がある
-
剛性は後からでも上げられる
-
いきなり完成形を目指さない
VZアドバンスパックのステー構成は、
改造の順番を教えてくれる。
4. VZの思想をMEシャーシに当てはめる
ここまで見てきた
VZシャーシ アドバンスパックの構成は、
MEシャーシ改造論でやってきたことと、かなり重なっている。
順番を整理すると分かりやすい。
-
まず整える(駆動ロスを潰す)
-
次に引き上げる(扱える範囲でパワーを入れる)
-
盛りすぎない(剛性・ギミックは後回し)
これはその1・その2でやってきた流れそのものだ。
モーターとギア比の考え方
その2では、
ライトダッシュモーターPROと3.7:1ギアを選んだ。
VZアドバンスパックも、
まったく同じ発想で構成されている。
-
パワーは控えめ
-
ギアで受け止める
-
回転を無理なく使い切る
MEシャーシでも、
この考え方はそのまま使える。
シャーシが違っても、
モーターとギア比の関係性は共通だ。
剛性の作り方
その2で、
ARシャーシ用FRPステーを使ったのも、
VZアドバンスパックの思想と一致している。
-
いきなりカーボンに行かない
-
必要な場所に、必要な分だけ
-
まずは挙動を安定させる
MEシャーシは着脱式バンパーだから、
この「試しながら足す」やり方が特にやりやすい。
ギミックを後回しにする理由
VZアドバンスパックを見ても、
最初から複雑なギミックは入っていない。
これは、
セッティングの基準点を作るためだと思っている。
MEシャーシでも同じ。
-
まずはリジット
-
素の挙動を知る
-
必要だと分かってから動かす
この順番を守るだけで、
遠回りをしなくて済む。
5. 教科書としての「超速チューンナップ入門」
ここまで書いてきた内容は、
決して独自理論というわけじゃない。
実は、
タミヤ公式の考え方や、
昔からの定番ノウハウと、かなり重なっている。
その代表が
**『ミニ四駆 超速チューンナップ入門 2021』**だ。
正直、この本は教科書としてかなり優秀で、
自分は読み込みすぎて
よく見るページが手垢で黄色くなっている。
-
いきなり盛らない
-
まず駆動とバランス
-
モーターとギア比はセットで考える
MEシャーシ改造論を書いていて、
「あ、これ超速本で見たやつだな」
と思う場面は何度もあった。
VZアドバンスパックも、
その本に書かれている考え方を
今のキットとして形にしたものだと感じている。
結論:シャーシが違っても、考え方は同じ
MEシャーシ改造論・その3の結論は、これだ。
-
シャーシが違っても
-
パーツが違っても
考え方は同じ。
-
まず整える
-
次に引き上げる
-
盛るかどうかは、その後に選ぶ
VZシャーシ アドバンスパックは、
その順番をメーカーが示した一つの答え。
MEシャーシでも、
この考え方を当てはめれば、
迷いにくく、再現性の高い改造ができる。
シリーズまとめ
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その1:整える(駆動ロスと向き合う)
-
その2:引き上げる(ライトダッシュで肩慣らし)
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その3:理解する(公式セッティングから学ぶ)
MEシャーシ改造論は、
パーツ自慢の話じゃない。
順番と考え方の話だ。

