自転車屋という仕事は、機械を扱う仕事だ。
パンクを直したり、ブレーキを調整したり、部品を交換したり。
やっていることだけ見れば、完全に技術職だと思う。
ただ、それだけじゃない。
ここには人が来る。
空気を入れに来る人。
ちょっとした調整を頼みに来る人。
特に用はないけど、顔を出しに来る人。
そういう人たちが、少しずつ増えていく。
よく顔を出してくれる人たちがいる
うちの店には、よく来てくれる人たちがいる。
大体は、タイヤの空気を入れに来る人だ。
それだけの用事なんだけど、定期的に顔を出してくれる。
何回か来てくれるうちに、自然と顔を覚える。
向こうもこちらを覚えてくれる。
いわゆる“常連さん”というやつだ。
なぜか差し入れをもらう
そんな人たちから、なぜか差し入れをもらうことがある。
クッキーだったり、飴だったり、果物だったり。
夏の暑い時期になると、飲み物を差し入れてくれることもある。
しかもこれ、1人じゃない。
何人かいる。
「いつもありがとうねぇ、これどうぞ」
「いつもありがとうねぇ、これどうぞ」
そんな感じで、さらっと渡される。
本当に、何気ない一言だ。
でも、その何気なさが妙に沁みる。
正直、気を使わなくていいと思っている
正直なところ、気を使わなくていいと思っている。
空気を入れに来て、少し話をして、
それだけで十分だ。
わざわざ何か持ってきてもらう必要なんてない。
……とは思うんだけど。
やっぱり、嬉しいものは嬉しい。
チップを渡そうとする人もいる
中には、お金を渡そうとしてくる人もいる。
いわゆるチップみたいなものだ。
ありがたい話ではあるんだけど、
それは基本的に断るようにしている。
ただ、断るだけじゃ少し味気ない。
だから、こう伝えている。
「その代わり、何かあったらまたうちに来てください」
修理が必要になった時に、また来てもらえればそれでいい。
それが一番ありがたい。
自転車屋の生態としての結論
自転車屋という仕事は、技術職ではある。
でも、それだけじゃない。
こうして顔を出してくれる人がいて、
ちょっとしたやり取りがあって、
その積み重ねで成り立っている。
差し入れをもらうことが嬉しいわけじゃない。
来てくれること自体が、ありがたい。
ただ、その気持ちを形にしてくれているのが、
たまたま差し入れだったりするだけだ。
まとめ
自転車屋は、自転車を直す場所だ。
でも同時に、人と人が関わる場所でもある。
空気を入れに来て、少し話をして、また帰っていく。
そんな何気ないやり取りが、意外と記憶に残る。
だから多分、こういう関係が続いていくんだと思う。
こういうのがあるから、この仕事はやめられない。