narita-lab’s blog

成田ラボ 〜テクノロジーと雑学の観察日記〜

安価なスマホがAIスマホを名乗る理由

先日、YouTubeでBlackviewのスマホレビューを見ていた時のこと。

「今話題のAIも使えます!Gemini、ChatGPTなどアプリを切り替えて使うことができます!」

そんな紹介をしていた。

確かに嘘ではない。GeminiもChatGPTも使える。最近ならClaudeだって使えるだろう。

でも、その瞬間ふと思った。

「それって別にBlackviewじゃなくてもできるよね?」

実際、手元にあるGalaxy S24 FEでも、Redmi 12 5Gでも、XperiaでもChatGPTは使える。Geminiも使えるし、Web版ならClaudeも動く。

通信さえできれば、多くのスマホで同じことができる時代だ。

もちろん、「安価なスマホでもAIサービスを使えますよ」という意味なら間違ってはいない。

ただ、「ChatGPTやGeminiが使える=AIスマホ」と言われると、少し違和感があるのも事実だ。

最近は「AI搭載」という言葉を見ない日はない。

でも、そもそもAIスマホって何なんだろう。

今回は、安価なスマホが「AIスマホ」を名乗る理由と、個人的に感じたモヤモヤについて書いてみたいと思う。

 

「AIアプリが使える」は今や当たり前

まず最初に言っておきたいのは、Blackviewの紹介内容が間違っているわけではないということだ。

ChatGPTもGeminiも、最近ではClaudeもスマホで使える。

「AIを使ってみたいけど、高いスマホは買えない」

そんな人にとって、「この価格帯でも話題のAIを試せますよ」というアピールは分かりやすいし、安心材料にもなるだろう。

ただ、2026年の今となっては少し事情が違う。

ChatGPTはアプリをインストールすれば使えるし、Geminiも対応環境なら利用できる。ClaudeもWebブラウザ経由でアクセスできる。

つまり、

  • Galaxyだから使える
  • Blackviewだから使える
  • Pixelだから使える

というものではなく、

通信できるスマホなら大抵使える機能になっている。

実際、手元のRedmi 12 5GでもChatGPTは問題なく動く。Geminiも利用できるし、必要ならClaudeにもアクセスできる。

だからこそ、

「ChatGPTが使えます!Geminiが使えます!だからAIスマホです!」

と言われると、

「それって今のスマホなら大体できることでは?」

という疑問が出てくる。

昔で言えば、

「この携帯電話、インターネットができます!」

と大々的に宣伝していた時代に近いのかもしれない。

当時は最先端だった機能も、今では当たり前。

AIもまた、ちょうどそんな過渡期にいるのではないだろうか。

 

じゃあ、本当の意味での「AIスマホ」って何だろう?

では、個人的に「AIスマホ」と呼ぶなら、どんな機能が必要なんだろうか。

もちろん明確な定義があるわけではない。ただ、少なくとも「AIアプリをインストールして使える」だけでは少し物足りない気がする。

例えば最近のGalaxyシリーズには、通話内容の文字起こしや要約、文章作成の補助、画像編集など、AI機能がOSレベルで組み込まれている。

Pixelシリーズでは、レコーダー機能による文字起こしや要約、リアルタイム翻訳などが代表的だ。

こうした機能は、

「ChatGPTのアプリを自分で起動する」

のではなく、

「スマホそのものが裏側でAIを活用して便利にしてくれる」

という点が大きく違う。

例えば、

  • 通話内容を後から見返せるように文字起こしする

  • 外国語の会話をリアルタイムで翻訳する

  • 長文の記事やメモを要約する

  • 写真から不要なものを自然に消す

この辺りになると、

「なるほど、これは確かにAIスマホと呼んでもいいかもしれない」

と思える。

ただ、ここで一つ問題がある。

正直なところ、これらの機能をどれだけの人が日常的に使っているのだろうか。

少なくとも自分の場合、

「便利そうなのは分かる。でも、使い方がよく分からないし、別に無くても困らない。」

というのが本音だった。

実際、Galaxy S24 FEを使っていても、AI機能を積極的に使っているわけではない。

夜景補正もほとんど使わないし、AIによる画像編集も「余計なことをしなくていい」と思ってしまうことが多い。

だからこそ、今のAIスマホには少し不思議な感覚がある。

機能としては確かにすごい。

でも、多くの人にとっては、

「便利そうだけど、結局使わない機能」

になっている部分も少なくないのではないだろうか。

 

それでもメーカーが「AIスマホ」を名乗る理由

では、なぜメーカーはここまで「AIスマホ」という言葉を使いたがるのだろうか。

一番大きい理由は、やはり今の時代を象徴するキーワードだからだと思う。

少し前なら、

「5G対応!」

「高リフレッシュレート!」

「1億画素カメラ!」

といった言葉が並んでいた。

そして今、そのポジションにいるのが「AI」だ。

特にBlackviewのような比較的安価なスマホメーカーにとっては、

「うちのスマホでも今話題のAIが使えますよ」

というアピールには大きな意味がある。

「安いスマホだから最新の流行には乗れない」

そんなイメージを持たれがちな価格帯だからこそ、

「ChatGPTもGeminiも使えます!」

という分かりやすい宣伝文句は、購入を検討している人に安心感を与えやすい。

実際、これは決して嘘ではない。

AIを試してみたい人にとって、「高価なハイエンドスマホを買わなくても大丈夫ですよ」というメッセージは魅力的だろう。

ただ、その一方で、

「ChatGPTが使える=AIスマホ」

という説明だけでは、少し無理があるようにも感じる。

極端な話をすれば、数年前のスマホでもChatGPTは使えるし、Webブラウザさえ動けばClaudeにアクセスすることだってできる。

それを考えると、「AIスマホ」という言葉は技術的な分類というより、

『今のトレンドを分かりやすく伝えるためのマーケティング用語』

として使われている側面が強いのかもしれない。

もちろん、それ自体が悪いわけではない。

ただ、消費者としては、

「AIスマホだから何ができるのか?」

という部分をもう少し具体的に説明してもらえた方が親切だと思う。

AIという言葉だけが一人歩きしてしまうと、本当に便利な機能まで埋もれてしまう。

だからこそ、「AI搭載」という一言だけで判断するのではなく、

「そのAI、自分は本当に使うだろうか?」

と一度立ち止まって考えてみるのも大切なのかもしれない。

 

まとめ

今回の話は、決して「AIスマホなんて全部ダメだ」と言いたいわけではない。

ChatGPTやGemini、Claudeのような対話型AIは実際に便利だし、安価なスマホでもそれらを利用できるようになったのは良いことだと思う。

だから、「この価格帯でもAIを試せます」というアピール自体は間違っていない。

ただ、個人的には、

「ChatGPTが使えるのでAIスマホです!」

と言われると、少し首を傾げてしまう。

それはもう、多くのスマホで当たり前にできることだからだ。

本当の意味でのAIスマホとは、AIアプリをインストールできることではなく、

「気付かないうちに生活を便利にしてくれる存在」

なのかもしれない。

迷惑電話を判定してくれたり、必要な時だけ文字起こしをしてくれたり、バッテリーを最適化してくれたり。

そんな風に、AIを意識せずとも恩恵を受けられるようになった時、初めて「AIスマホ」と呼ぶ価値が生まれるのではないだろうか。

そう考えると、今のAIスマホブームは、昔の「インターネット対応携帯」や「ワンセグ搭載スマホ」が大きく盛り上がっていた頃に少し似ている気がする。

当時は、

「携帯でテレビが見られる!」

「インターネットができる!」

と大騒ぎしていた。

でも今では、インターネットに繋がるのは当たり前だし、ワンセグはほとんど姿を消した。

きっとAIも同じだ。

本当に便利な機能だけが残り、数年後には「AI搭載」なんてわざわざ宣伝しなくなる日が来るのかもしれない。

その頃には、

「昔はChatGPTが使えるだけでAIスマホって呼んでたんだぞ。」

なんて話をして、

「え? AIって最初から入ってるのが普通じゃないの?」

と若い世代に驚かれているのかもしれない。

そんな未来を想像しながら、今回の「AIスマホ」という言葉への小さなモヤモヤを書いてみた。

少なくとも今の自分にとっては、

「AIだから選ぶ」よりも、「自分に必要な機能がちゃんと揃っているか」の方が、スマホ選びではずっと大切なのだと思う。