narita-lab’s blog

成田ラボ 〜テクノロジーと雑学の観察日記〜

その付加価値、本当に必要ですか?

最近、扇風機を買い替える機会があって家電売り場を眺めていた。

「赤外線リモコン付き!」
「リズム風機能搭載!」
「8時間自動OFF!」
「液晶表示付き!」
「アプリ連携対応!」

……いや、そんなに要る?

もちろん、あれば便利な機能もある。リモコンがあれば離れた場所から操作できるし、タイマー機能が役立つ人もいるだろう。

でも、ふと思ってしまったのだ。

「扇風機って、風を送ってくれればそれで十分じゃないか?」

20代の頃の自分なら、「おぉ、すげぇ!」「未来の家電じゃん!」なんて目を輝かせていたと思う。機能が多ければ多いほど得した気分になっていたし、「1台で何でもできる」という言葉にもワクワクしていた。

それが30代になった今では、「その機能、本当に使うの?」と考えるようになった。

もしかすると、ただ単に歳を取っただけなのかもしれない。

……いや、本当に必要なものが分かるようになっただけだと思いたい。

今回は、最近の家電にありがちな“付加価値”について、少し考えてみたいと思う。

 

昔は"全部入り"にワクワクしていた

今でこそ「その機能、本当に必要?」なんて言っているけれど、20代の頃の自分はむしろ逆だった。

「これ1台で何でもできます!」
「スマホで操作できます!」
「自動で最適な運転をしてくれます!」
「〇〇機能も追加されました!」

そんな売り文句を見るたびに、「おぉ、すげぇ!」と素直にテンションが上がっていた。

実際、新しい機能を試すのは楽しい。家電量販店に並ぶ最新モデルを見て、「未来っぽいなぁ」とワクワクしたことがある人も多いんじゃないだろうか。

だから、多機能な家電そのものを否定したいわけではない。

むしろ、技術の進歩によって今までできなかったことができるようになったのは素直にすごいと思うし、それを楽しめる人は十分に元を取れると思う。

ただ、実際に何年もそういう家電を使っていると、あることに気付く。

「あれ、この機能って最初の数回しか使ってなくない?」

結局、毎日使うのは決まった機能ばかり。便利そうだと思っていた機能も、気付けば存在すら忘れている。

そして気付くのだ。

もしかして、自分が欲しかったのは"全部入り"じゃなくて、"普段使う機能がちゃんとしていること"だったんじゃないか、と。

 

使ってみると、案外使わない

もちろん、人によっては毎日のように使う機能もあると思う。

でも、自分の場合はそうじゃなかった。

例えば扇風機なら、最初のうちはリズム風を試してみたり、タイマーを設定してみたりする。「おぉ、こんな機能もあるのか」とちょっと楽しい。

でも、気付けば使うのは「電源」「風量調整」くらい。

掃除機も同じだ。

水拭き機能付き、ゴミの量を自動判別、スマホ通知、専用アプリで管理……。確かにすごいとは思う。でも、結局自分がやってほしいのは「床のゴミをしっかり吸ってくれること」だったりする。

電子レンジだってそうだ。

オーブン、グリル、自動調理、解凍モード、レシピ登録機能……と機能は盛りだくさん。でも、実際によく使うのはコンビニ弁当を温める機能だったり、冷凍食品を解凍する機能だったりする。

「せっかく付いてるんだから使わなきゃもったいない」

そう思っていた時期もあった。

でも今は逆だ。

「使わない機能なら、最初から無くても困らないんじゃないか?」

そう考えるようになった。

もちろん、それらの機能が必要な人を否定するつもりはない。

ただ、自分にとっては"あったら便利"と"無くては困る"は全然違うものだった。

そして、後者だけを残した結果、自然と「シンプルで十分」という考え方にたどり着いたのかもしれない。

 

30代になって変わったモノ選び

30代になって変わったのは、「何ができるか」よりも「何を求めているか」を考えるようになったことかもしれない。

若い頃は、とにかく多機能なものに惹かれていた。

1台で何役もこなしてくれる。機能が多ければ多いほどお得な気がする。新しいことができるたびに、「時代は進んだなぁ」とワクワクしていた。

でも今は、少し考え方が変わった。

掃除機なら、しっかりゴミを吸ってくれればいい。

扇風機なら、ちゃんと風を送ってくれればいい。

電子レンジなら、ムラなく温めてくれればいい。

もちろん、オーブン機能が必要ならオーブンレンジを選べばいいし、本格的に料理をするなら専用のオーブンを用意するという選択肢もある。

でも、自分の使い方を振り返ってみると、「あれもこれも1台に詰め込んだ製品」よりも、「この仕事だけはきっちりこなします」という製品の方が、むしろ使いやすかった。

むしろ最近は、

「2つの機能を1つにまとめました!」

と言われると、

「いや、その2つを別々に買えばよくない?」

と思ってしまうことすらある。

もちろん、設置スペースの問題もあるし、1台にまとまっている方が便利な場面もある。

ただ、全部入りだから正解というわけでもない。

使わない機能のために価格が上がったり、壊れた時に全部使えなくなったりするくらいなら、自分に必要なものを必要な分だけ選ぶ方が、結果的に満足度は高い気がしている。

20代の頃は「全部入りって最高じゃん」と思っていた。

でも30代になった今は、「ちゃんと1つの仕事をしてくれる道具っていいよな」と思うようになった。

もしかすると、それは面倒くさがりになっただけなのかもしれない。

……いや、無駄を減らして楽をしたいという、人間として正しい進化だと思っておこう。

 

単機能にも価値がある

こういう話をすると、「でも安い家電ってすぐ壊れるんじゃないの?」とか、「やっぱり高いモデルの方が満足度は高いでしょ?」と言われることもある。

もちろん、それは半分正解だと思う。

静音性や省エネ性能、細かな使い勝手。高価格帯の製品だからこそ実現できる価値も確かに存在する。

ただ、その価値が"自分に必要かどうか"はまた別の話だ。

例えば、「冷たい風が出ればいい」という人にとってはシンプルな扇風機で十分かもしれない。

「温めることができればいい」という人なら、高機能なオーブンレンジより電子レンジの方が使いやすいかもしれない。

「ゴミを吸ってくれればいい」という人なら、余計な機能のない掃除機の方が壊れる心配も少なく、気軽に使えるかもしれない。

だからこそ、アイリスオーヤマや山善、ハイアールといった"必要十分"を重視したメーカーが支持されているのだと思う。

決して「安いから仕方なく選ぶ」のではなく、

「自分にはこれで十分だから選ぶ」。

それも立派な価値観だ。

むしろ、技術が成熟した今だからこそ、「何を足すか」だけではなく、「何を引くか」が大事になってきている気がする。

機能を増やすことは簡単だ。

でも、本当に必要なものだけを残すのは意外と難しい。

だから最近は、シンプルな家電を見ると妙に安心する。

余計なことはしない。でも、求められた仕事はちゃんとこなしてくれる。

そんな"道具らしい道具"に、昔よりも魅力を感じるようになった。

若い頃は、「全部入り」に未来を感じていた。

でも今は、「必要十分」に贅沢さを感じる。

それとも、ただ単に自分が歳を取っただけなんだろうか。

……いや、多分それだけじゃない。

本当に必要なものを見極められるようになった。それが30代になった今の、自分なりのモノ選びなのかもしれない。