はじめに|久しぶりにApple純正イヤホンの音を聴いてみた
久しぶりに、Apple純正イヤホンの音を聴いてみたくなった。
理由は単純で、今のAppleが考える「普通」がどこまで洗練されているのかを確かめたくなったからだ。
手に取ったのは AirPods Pro (2nd generation)。
派手さや刺激的なチューニングは、最初から求めていない。
ただ、完成度の高い“基準点”としての音を、改めて体験してみたかった。
なお本機および使用した iPhone SE (第2世代) は、
いずれも親類から譲り受けたものになる。
本記事は購入を前提としたレビューではなく、
実使用を通して感じた率直な所感としてまとめていく。
音の第一印象|「おぉ……普通だ……」
最初に音を聴いたとき、真っ先に浮かんだ感想はこれだった。
「おぉ……普通だ……」
低音が過剰に主張するわけでもなく、
高音が無理に煌びやかに演出されることもない。
ボーカルは自然な位置に収まり、全体のバランスが崩れない。
いわゆる
-
解像度ゴリ押し
-
空間表現マシマシ
といった“わかりやすい個性”はない。
だが、その代わり
どの帯域も邪魔をしない。
音楽を聴く行為そのものを、きちんと成立させる音だ。
試聴環境について|iOSとAndroidの両方で試す
今回の試聴は、以下の2環境で行った。
-
iPhone SE(第2世代)
-
HiBy M300
iPhone SE2は、iOSの仕様上イコライザーの自由度が高くない。
これは手持ちのiPhone XSでも同様で、細かな音作りは難しい印象だ。
一方、HiBy M300では
再生アプリに Poweramp を使用し、
以下の“いつものマイベストセット”で試聴している。
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プリセット:ロック
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プリアンプ:+12
-
低音:50%ブースト
-
高音:19%ブースト
このかなり盛った設定でも、
AirPods Pro 2の音は破綻しない。
キャラが暴れすぎることもなく、バランスを保ったままだ。
ノイズキャンセリング|完成度はWF-1000XM4とかなり近い
AirPods Pro (2nd generation)のノイズキャンセリング性能は、
正直に言ってかなり高い完成度だ。
体感として近いのは、
WF-1000XM4。
効きの方向性も、レベル感もよく似ている。
低域のゴーッという環境音はしっかり抑えられ、
電車内や街中でも音楽に集中しやすい。
かといって、耳が詰まるような圧迫感は少ない。
効きすぎない、だが確実に効く
AirPods Pro 2のノイズキャンセリングは、
「効いていることを主張するタイプ」ではない。
ONにした瞬間、
世界が不自然に無音になるわけでもなく、
ただ周囲が一段静かになる。
この感覚は、
長時間使うほどありがたみが増してくる。
-
疲れにくい
-
違和感が残らない
-
ON/OFFを頻繁に切り替えなくて済む
結果として、
**“常時ONで使えるノイズキャンセリング”**になっている。
OSに依存しない安定感
今回の検証では、
iPhone SE(第2世代)とHiBy M300の両方で使用した。
どちらの環境でも、
ノイズキャンセリングの効き方に大きな差は感じない。
これは、
ノイズキャンセリング処理の大部分をイヤホン側で完結させている設計によるものだろう。
Android環境でも
「効きが弱い」「挙動が不安定」と感じる場面はなく、
イヤホン単体としての完成度の高さがよくわかる。
ノイズキャンセリングだけで価値は成立する
AirPods Pro 2は、
音質以前に
ノイズキャンセリングの完成度だけで評価できるイヤホンだ。
派手さはないが、
確実に効き、確実に疲れにくい。
ここにもまた、
**「面白味のある普通」**という評価が当てはまる。
外音取り込み|「自然すぎて」イヤホンをしていることを忘れる
**AirPods Pro (2nd generation)**の外音取り込みは、
ノイズキャンセリング以上に完成度の高さを感じた部分だ。
多くの外音取り込み機能は、
「外の音が聞こえる」こと自体を優先しがちだが、
AirPods Pro 2は聞こえ方の自然さが違う。
人の声がきちんと“人の声”として聞こえる
特に印象的だったのは、会話時の違和感の少なさだ。
-
声が電子的にならない
-
音量が不自然に跳ねない
-
耳元で強調されすぎない
結果として、
イヤホンを装着したまま会話している感覚がほとんどない。
これは
単にマイク性能が良い、という話ではなく、
音声処理全体のバランスが非常にうまいからだろう。
生活音とのなじみ方が上手い
車の走行音、足音、風の音。
これらの生活音も、極端に誇張されない。
外音取り込みをONにした瞬間、
「世界が切り替わった」感じがしないのが印象的だ。
-
不自然なホワイトノイズが乗らない
-
音の距離感が崩れない
-
周囲の空間がそのまま保たれる
この自然さは、
日常使いにおいて非常に大きなメリットになる。
Androidでも差は感じない
外音取り込みについても、
iPhoneとAndroid(HiBy M300)で体感差はほとんどない。
ノイズキャンセリング同様、
外音取り込みもイヤホン側で完結している処理であり、
OS依存の制限を感じる場面は少ない。
つまり、
外音取り込みに関しては
Androidユーザーでもフルに恩恵を受けられる。
外音取り込みも「普通」を極めている
AirPods Pro 2の外音取り込みは、
派手さや演出を一切感じさせない。
だが、
日常生活の中で最も自然に使える外音取り込みだと思う。
ノイズキャンセリングと同様、
ここでも
**「面白味のある普通」**という評価がしっくりくる。
コーデックとOS依存機能|できること・できないことを整理する
**AirPods Pro (2nd generation)**は、
使用するOSによって利用できる機能に差が出るイヤホンでもある。
まずは、その点を事実ベースで整理しておきたい。
コーデックについて
AirPods Pro 2は仕様上、LDAC対応とされることがある。
ただし、Android環境での実使用ではAAC接続までに制限される。
今回の検証でも、
iPhone SE(第2世代)およびHiBy M300のいずれでも
AACでの接続となった。
とはいえ、
AAC接続だからといって
音が明確に劣化すると感じる場面は少ない。
むしろ、
これまで述べてきた通り、
音のバランスが崩れないことの方が印象に残る。
Androidで使える機能
Android環境でも、
以下の基本機能は問題なく使用できる。
-
外音取り込み
-
通常の音楽再生・通話
これらはイヤホン本体側で処理されているため、
OSによる体験差はほぼ感じない。
Androidだからといって、
「機能が半分になる」という印象はない。
iOS限定機能について
一方で、以下の機能はiOS環境限定となる。
-
聴力検査
-
空間オーディオ
-
頭の動きに追従する空間トラッキング
これらは
Appleエコシステムとの連携を前提とした機能であり、
Androidでは利用できない。
AirPods Pro 2は、
Apple製品と組み合わせることで真価を発揮する設計だと分かる。
OS依存機能がなくても成立する完成度
重要なのは、
これらのiOS限定機能が使えなくても、
イヤホンとしての基本性能が一切揺らがない点だ。
音質、ノイズキャンセリング、外音取り込み。
この三点だけでも、
AirPods Pro 2の価値は十分に成立している。
だからこそ、
Apple製品ユーザーにとっては非常に魅力的であり、
Androidユーザーにとっては
「わざわざ選ぶ理由を考える必要がある」イヤホンになる。
まとめ|「面白味のある普通」を選べるかどうか
AirPods Pro (2nd generation)を使って感じたのは、
このイヤホンが一貫して「普通」を目指して作られているという点だ。
ただし、それは
無個性な普通ではない。
向いている人
-
Apple製品を日常的に使っている人
iPhone、Apple Watch、Macなどと組み合わせたときの完成度は非常に高い。
価格は正直高めだが、体験込みで納得しやすい。 -
通常のAirPodsからのランクアップを考えている人
操作感や装着感はそのままに、
ノイズキャンセリングと外音取り込みが加わることで、
使い勝手は一段階上に引き上げられる。 -
音に変なクセのないイヤホンを求めている人
ジャンルを選ばず、
どんな場面でも破綻しない“基準点”として使える。
向いていない人
-
ドンシャリ傾向の派手な音が好きな人
-
EQを細かくいじって遊びたい人
AirPods Pro 2は、音を作り込むためのイヤホンではない。 -
Androidユーザー
使えないことはない。
だが、特別な理由や強いこだわりがない限り、
**Anker**など、
Android向けに最適化された製品を選んだ方が満足度は高いだろう。
「面白味のある普通」という評価について
AirPods Pro 2は、
**「面白味のある普通」**を実現したイヤホンだ。
以前、見た目を模した低価格帯のイヤホンを試したことがある。
それも確かに“普通”ではあったが、
音にも体験にも何も残らない、無味な普通だった。
一方でAirPods Pro 2は違う。
派手な主張はしないのに、
「ちゃんと作られている」という感触が確かにある。
これが、
**高価格帯モデルとして成立している“普通”**なのだと思う。
最後に
AirPods Pro 2は、
「感動する音」を聴かせるイヤホンではない。
だが、
不満を残さず、長く使える音をきちんと出してくる。
普通であることを、
ここまで高い次元で成立させている製品は意外と少ない。
それを価値だと感じられるなら、
このイヤホンはきっと、日常に静かに溶け込んでくれる。
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